ZERO Private Body Labo
更新日:2024年1月8日
肝臓の構造
三角錐を横にしたような形。
重量は成人で体重の1/50くらい(1.2〜1.5kg)。
40歳頃に最大の大きさになる。
肝臓は肝細胞と血管の集合体で、肝細胞の数は2500億個。
この肝細胞が50万個程集まって直径1〜2mmの六角柱の集合体を作り出していて、これを肝小葉という。
口から入った糖質は消化管を通る時に消化酵素(アミラーゼ)によって分解されて単糖類(グルコース、フルクトース、ガラクトース)になる。
単糖類まで分解されて小腸から吸収される。
小腸から吸収されたグルコースは門脈を通って肝臓へ運ばれる。(フルクトース、ガラクトースは肝臓でグルコースになる)
肝臓のグルコースは血液を通って全身の細胞に運ばれ、エネルギーの供給源であるATPとして利用される。
しかし肝臓にグルコースが充分蓄えられているとグルコースはグリコーゲンとして肝細胞に貯蔵する。
血糖値が高い時、インスリンの作用により肝臓はグルコースを血液中から肝臓に取り込む。
そしてグルコースを繋げてグリコーゲンを生成し、肝臓内に貯蔵する。
そして血糖値が低下するとグルカゴンの作用により、グリコーゲンを分解してグルコースに変えて血液中に放出して血糖値を調整する。
この様にして肝臓は血糖値を調節している。
肝臓はアミノ酸からアルブミン、グロブリン、フィブリノゲンなどの血漿たんぱく質を生成する。
肝臓は全身の細胞にアミノ酸を届ける役割があり、肝臓自体もアミノ酸を合成してたんぱく質を作るのだが、作ったたんぱく質で血液中に放出したものを血漿たんぱく質という。
[アルブミン]
・血管内の浸透圧を維持(血管外から血管内に水を引き寄せる)
・血管内の物質の運搬(血液中に溶けにくい油を遊離脂肪酸と結合したりしてタンパク質が運ぶ)
[グロブリン]
・脂質や鉄、ホルモンなどを運搬
[フィブリノゲン]
・止血作用(出血した時に血小板が傷口に集まり一時止血が完了する。更にフィブリノゲンがフィブリンに変換されて傷口を塞ぎ、二次止血が完了する)
肝臓はこれらの血漿たんぱく質を生成する。
糖質と一緒で小腸で吸収され門脈を通って肝臓へ運ばれる(アミノ酸に分解されて)。
肝臓で合成できる非必須アミノ酸の原料は、非必須アミノ酸とグルコースからなる中間産物。
肝臓のアミノ酸は血液中に放出され各細胞に運ばれる。
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肝臓は中性脂肪、リン脂質、コレステロールを生成する。
口から体内に入った脂質は胃から十二指腸へ運ばれ、膵リパーゼという消化酵素によって分解される。
膵リパーゼは膵液の中に混ざっている(水に混ざっている)。
なので水と馴染みにくい油の脂質は膵リパーゼの効果を受けにくい。
そこで胆汁の役割が重要になる。
胆汁の成分の中の胆汁酸は強い界面活性作用を持っていて脂質を乳化し、ミセルを形成する。
※ミセル
水と馴染みにくい脂質は胆汁酸によって、脂質を取り囲み水と馴染みやすくする働きを持つ。
※乳化
ミセルによって脂肪が水中に分散する事。
そして膵リパーゼを含む膵液によって脂質がさらに小さく分解され、小腸の上皮細胞内に吸収され、小腸上皮細胞内で再合成る。
そしてリンパ管を通って全身へ運ばれていく。
他にもリン脂質やコレステロールも小腸から吸収されるのだが、これらの脂質は疎水性の為、リンパ管を流れる事が出来ない。
そこでカイロミクロンを生成する。(ボール状で表面はアポタンパク質とリン脂質、内側に中性脂肪やコレステロールが入っている。
カイロミクロンはリンパ管を経由して静脈角から静脈へ入り、心臓を通り動脈へ運ばれる。
そしてカイロミクロンは細胞や脂肪細胞に脂肪を送り届け、肝臓へ取り込まれる。
肝臓で作られたVLDL(リポたんぱくの一種)は血液中を流れ、また全身の組織に脂肪を送り届ける。(細胞、筋肉、脂肪細胞へ)
全身の組織へ脂肪を届けるとVLDLはLDLとなる。
LDLはコレステロールを細胞へ送るが、コレステロールが過剰にある時は、血管壁に付着して動脈硬化を促進させてしまう。
なのでLDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と言われている。
一方、肝臓ではHDLというリポたんぱくも作られている。
HDLは血液中を巡りながら余計なコレステロールを回収しながら移動している。
なのでHDLコレステロールは「善玉コレステロール」と言われていて、動脈硬化を抑制する働きがある。
※高LDLコレステロール血漿や低HDLコレステロール血漿、高トリグリセリド血漿となると、
・動脈硬化
・脳梗塞
・心筋梗塞 の原因となる。
肝臓は女性ホルモンであるエストロゲンを不活化する働きがある。
なので、肝臓の機能が低下するとエストロゲンを分解する働きが弱まり、体内のエストロゲンが過剰に多くなる。
過剰なエストロゲンの作用によって血管が拡張され、手拳紅斑やくも状血管腫になる恐れがある。
有害物質を毒性の低い物質に変換して尿中や胆汁中に排泄する。
例えば、アミノ酸を利用する際に生じる毒性の高いアンモニアを無毒な尿素に変換して体外に捨てる。
肝臓はアルコールも代謝するので、悪酔いの原因となるアセトアルデヒドに代謝し更に酢酸へと代謝され汗や尿となって体外へ排泄する。
他にも、薬物も肝臓で代謝する。
胆汁の成分はほとんどが水分だが、胆汁酸、リン脂質、コレステロール、ビリルビンからなる。
胆汁の成分である胆汁酸は肝臓内でコレステロールから合成される。
胆汁酸には
・親水基
・疎水基
の部分があり、脂になじみやすい部分と水に馴染みやすい部分がある。
(前述の脂質代謝のミセルとはこの胆汁酸が脂質を取り囲んで水と馴染みやすくしている)
肝臓は肝小葉という六角柱が約50万個集まったもので構成されていて、この肝小葉は肝細胞が集まって構成されている。
肝細胞で作られた胆汁は小葉間胆管に注がれ、胆管を通って胆嚢に運ばれる。
そして胆嚢で濃縮されて一時的に貯蔵され、最終的には十二指腸に分泌される。
糖質(炭水化物)、タンパク質、脂質、ビタミンなど様々な物質の合成・貯蔵・分解が肝臓で行われます。
特に糖質の貯蔵はダイエットや体づくりにも関係が深く、取込んだグルコースをグリコーゲンとして蓄えます。
肝臓には約100gのグリコーゲンが貯蔵出来て、エネルギー不足の際に利用されます。
胎児期(第9週以降出生まで)のうちは増血機能を肝臓と脾臓で担っている。
しかし、誕生後は増血機能は失われ骨髄で血液が作られるようになる。